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当たり前の日常が、そうではなくなるということ

 秋の夜長を満喫するため、数日前に『YESTERDAY』という映画を観ました。本日はその感想を書かせていただきます。

 舞台はイギリスの田舎町。主人公は鳴かず飛ばずのミュージシャン、ジャック。長年、幼馴染みのエリーに支えられながら音楽活動を続けてきたジャックですが、ついにミュージシャンとして有名になる夢を諦めようとします。
 そんなある日、全世界で一時的な停電が発生し、それと同時にジャックは交通事故に遭い昏睡状態に陥ってしまいます。意識を取り戻したジャックが目にする世界は何一つ変わりのないものだったのですが、唯一、違った現実が存在することを知ります。それは、あの有名な「ザ・ビートルズ」が存在しない世界になっているということ。最初のうちは現実を受け入れられないジャックでしたが、どうやら事実であるという確信を得た彼は、ビートルズのナンバーをライブ会場で披露します。もちろん、あれだけの名曲ばかり。すぐに音楽プロデューサーの目にとまり、ジャックはスターの階段を駆け上っていきます。
 しかし。一躍スターとなったジャックに様々な葛藤が生じ始めます。その世界には存在しないビートルズの楽曲を思い出し歌い続ける困難さ、本来ならば「盗作」とも言える後ろめたさ、ショービジネスの汚い世界、そして幼馴染みエリーとの関係性の変化。そんなジャックの心情がどう変化していくかという点も重要なポイントです。
 という概要だけの紹介ですが、とても面白いストーリーでした。ビートルズファンかどうかは関係なく、十分に楽しむことができる映画だと思います。

 ビートルズという全世界で当たり前のように存在するバンドが、ある日突然、存在しなくなってしまう。つまり、当たり前のものが当たり前ではなくなってしまうということ。そんな感覚が新型コロナウィルス感染拡大防止策として講じられた、緊急事態宣言下における日常と相通じるものを感じました。
 当たり前のように人と会う、当たり前のように外食をする、当たり前のようにショッピングに行く……そんな当たり前の日常が、そうではなくなるということを体験し、当たり前の日常がいかに有り難いことなのかを知らされた数日間だったように思います。しかし、それは高齢者や障がいを持つ方にとってはどうだったのでしょうか。

「緊急事態宣言や言っても、私らには関係ないわ」

 そんな利用者様の声を聞くことがありました。外出する機会が無く、自宅で過ごす時間が大半の方々にとっては確かにそうなのかもしれません。
 新型コロナウィルスの感染については、まだまだ油断できませんが、ネガティブな点ばかりではなく、その中から何か大切なことを得られたらと思います。その一つが当たり前の日常の大切さ、そして、自分にとっての当たり前が全ての人の当たり前ではないということだと思います。